カフェとレストランの違いに疑問を感じた経験はないでしょうか。ここでは、カフェとレストランの解説をします。カフェと喫茶店の違い、レストランについて、カフェレストランの立ち位置、カフェ開業の手順と資格、レストラン開業の手順と資格を確認しましょう。
カフェとは
カフェとは、飲み物をメインに提供する飲食店です。料理の提供も行いますが軽食が多く、主力メニューはコーヒー、お茶類、デザートメニューです。
法律上でカフェの定義はありませんが、おもに以下の特徴があります。
- 読書や作業をする顧客が多い
- 料理は軽食が中心
- テラス席や解放感のある店舗が多い
- コーヒーや飲み物にこだわりがある
- 酒類の提供もできる
- デザートメニューが豊富
- 夜よりも昼間の来客が多い
- コンセプトカフェもある(猫カフェやオーガニックカフェなど)
カフェと喫茶店は異なる
カフェと喫茶店は似た業種ですが、異なる点は以下の通りです。
カフェ | 喫茶店 | |
---|---|---|
発祥 | 1990年代以降 | 1880年代から |
経営 | 個人経営、チェーン店 | 個人経営が多い |
規模 | 小規模~大規模 | 小規模が多い |
店内 | 明るめ | 暗め |
テラス席 | ある店舗が多い | ない |
雰囲気 | 近代的 | レトロ |
酒類 | 提供可 | ない |
席 | カウンター、テーブル席 | カウンター、ボックス席 |
食事 | ワンプレートや洋食が多い | ナポリタンやトーストなど |
カフェは「飲食店営業許可証」、喫茶店は「喫茶店営業許可証」と必要な許可証が異なり、酒類の提供可否が大きな違いでした。
しかし、令和3年6月1日に「喫茶店営業許可証」は「飲食店営業許可証」に統合されました。そのため、以前は法律上の区分がありましたが、現在はカフェと喫茶店に法律上の違いはありません。
ただし従来のカフェと喫茶店の違いは現在も変わらないため、雰囲気やメニューは異なる文化を継承しています。
なお、喫茶店を掲げた店舗でも「飲食店営業許可証」を取得していれば、カフェと同じく酒類の提供も可能です。
レストランとは
レストランは、料理の提供がメインの飲食店です。カフェとの違いは、主力メニューが料理か飲み物かの違いがあります。
しかし、レストランも法律上で定義されていない点はカフェと同様です。
レストランのおもな特徴は以下の通りです。
- 食事としての料理提供を行う
- 食事を求めた来客が多い
- 洋食が多いが中華や和食レストランもある
- 料理に合う酒類の提供も行う
- 昼よりも夜の来客が多い
- デザートタイムは準備中の店が多い
カフェレストランも可能
カフェとレストランの中間が、カフェレストランと呼ばれます。カフェレストランも明確な定義はないですが、カジュアルなレストランとして需要があります。
例えば、デザートタイムに食事をしたい顧客ならば、カフェよりも料理が多いカフェレストランを利用するでしょう。カフェレストランのおもな特徴は以下の通りです。
- 料理メニューがカフェよりも多い
- カフェとしてこだわりの飲み物もある
- デザートタイムも営業している店が多い
- レストランよりもカジュアルに利用できる
カフェを開業する手順と必要な資格
カフェを開業するための手順と、必要な資格を解説します。
手順
カフェを開くためには以下の手順を踏みましょう。
- コンセプトを決める
- 物件を決める
- 資金を調達する
- 資格や許可証を取得する
- メニューと価格を決める
- 備品とスタッフを確保する
- 宣伝をする
カフェには、落ち着く空間を求める顧客も多いです。そのため、コンセプトに沿ったメニューだけでなく、内装やBGMなどもこだわりましょう。
カフェの開業に必要な資格は次の項目で説明します。
必要な資格
カフェの開業に必要な資格は以下の通りです。
- 食品衛生責任者
- 飲食店営業許可
- 防火管理者(収容人数30人以上の場合)
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(深夜に酒類を提供する場合)
- 製造業、調理業、加工販売業(メニューにより必要な場合がある)
「防火管理者」は、スタッフと顧客を含めた収容人数が30人以上の店舗に必要な資格です。「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」は、深夜0時以降に酒類を提供したい場合に届け出ます。
しかし、酒類が主力メニューではないカフェの場合、不要なこともあるので管轄内の警察署に確認しましょう。
その他、テイクアウトメニューによってはさらに製造業、調理業、加工販売業の許可申請が必要な場合もあります。
令和3年6月1日以降に営業許可業種が再編されたため、メニューが決まった時点で保健所へ確認しましょう。
レストランを開業する手順と必要な資格
レストランを開業するための手順と、必要な資格を解説します。
手順
レストランを開くためには以下の手順を踏みましょう。
- コンセプトを決める
- 物件を決める
- 資金を調達する
- 資格や許可証を取得する
- メニューと価格を決める
- 備品とスタッフを確保する
- 宣伝をする
レストランの開業に必要な手順も、カフェの手順と同様です。
ただし、レストランは料理がメインなので、メニュー開発、原価算出、価格設定に時間がかかる傾向があります。
必要な資格
レストランの開業に必要な資格は以下の通りです。
- 食品衛生責任者
- 飲食店営業許可
- 防火管理者(収容人数30人以上の場合)
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(深夜に酒類を提供する場合)
- 製造業、調理業、加工販売業(メニューにより必要な場合がある)
レストラン開業に必要な資格も、カフェと同様です。
「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」は、料理がメインのレストランの場合は不要なこともあるので、警察署に確認しましょう。
その他に、レストランで製造した食品をテイクアウト販売するならば、飲食店の営業許可とは別に製造業、調理業、加工販売業の許可申請が必要な場合もあります。
カフェと同様に、メニューが決まった段階で保健所へ確認しましょう。
カフェ・レストランを成功させるにはコンセプトを明確にする
カフェやレストランを開業するうえで重要なのが、コンセプトです。コンセプトとは全体を貫く基本となる概念です。
以下の5W2Hを基準にコンセプトを決めましょう。
Why | なぜ |
Who | 誰に |
What | 何を |
Where | どこで |
When | いつ |
How | どのように |
How much | いくらで |
コンセプトが運営方針の軸になるため、決まらないと物件選びや内装が定まりません。
例えば、ビジネス街のカフェと学生街のカフェは、同じカフェでもメニューや価格帯を変える必要があります。
そのため、5W2Hに沿って営業時間帯、提供するメニューと飲み物、来てほしい客層、価格帯、店の雰囲気など、コンセプトを明確にすることが成功の秘訣です。
まとめ
カフェは飲み物を主力メニューにした飲食店で、喫茶店とは文化と雰囲気が異なります。レストランは料理が主力メニューの飲食店で、カフェレストランは中間の位置づけです。
カフェやレストランを開業するためには、5W2Hに沿ったコンセプトをもとに物件、内装、メニュー、価格などを決めます。
なお、開業に必要な資格は「食品衛生責任者」、「飲食店営業許可」、「防火管理者(収容人数30人以上の場合)」、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書(深夜に酒類を提供する場合)」です。
テイクアウトメニューによっては、さらに製造業、調理業、加工販売業が必要な場合もあるので保健所に確認しましょう。