粗熱とは、加熱調理後の食材が持つ熱のことをいいます。本記事では、粗熱の読み方や定義、「粗熱を取る」という言葉の意味、その必要性などを紹介します。粗熱を取る際の注意点も紹介しているので、調理の際の参考にしてみて下さい。調理用レシピで「粗熱」という言葉を見たけれどその意味が分からない、という場合や、どのくらいで粗熱が取れた状態になるか分からないという場合にも、役立ちます。
粗熱とは
粗熱とは、加熱調理をした直後の食材が持つ熱のことです。
具体的には、手で触れられないような高温状態から、人肌に近いおよそ40度までの熱のことをいいます。
読み方は「あらねつ」です。
粗熱を取るというのはどういう状態なのか
粗熱を取るという言葉は、先述の熱い状態の食材を冷ますことを指します。
完全に冷たくするわけではなく、手で触れてやや温かい状態の40度ぐらいに冷ますことを指すのが、一般的です。
また、加熱後の食材を冷蔵庫に入れる場合は、室温の28度前後にすることを「粗熱を取る」と表現するケースもあります。
粗熱を取る必要性
加熱調理後に粗熱を取ることは、食材を扱いやすくするほか、湿気や冷蔵庫内の温度の調節に役立ちます。
粗熱を取ることにより、作業がしやすくなるケースもあるため、レシピに書かれている際はそれに従いましょう。
粗熱を取らないとどうなる?
食材の粗熱を取らずに作業すると、以下のような状態になる可能性があります。
- 水蒸気が容器や周囲に付着し、食感と味が悪くなる
- 後から乗せたクリームや砂糖が溶ける
- 冷蔵庫にそのまま入れた場合、周りの物の温度も上がってしまう
- お菓子の生地が馴染みづらくなる
- 加熱直後の食材を手に取った場合、火傷してしまう
- 香りづけをしても、上手くできなくなる場合がある
- 食材が崩れやすくなる
粗熱は何分で取れる?
粗熱がどのくらいの時間でとれるかは、食材の種類や大きさ、冷ます場所、室温などによって異なります。
例えばケーキはおおむね1時間ほどで粗熱が取れるとされていますが、先述のように条件が異なれば結果もまた変わってきます。
そのため、はっきりと何分ぐらいで粗熱が取れるという目安はありません。
少しでも早く粗熱を取りたい場合は、流水を利用したり、保冷剤で保存容器の周りを冷やしたりすると効果的です。
粗熱の取り方
粗熱の取り方は、調理後冷めるまでそのまま放置しておくことが基本です。
ただしより素早く粗熱を取りたい場合や、湿気を飛ばしたい場合には別の方法を選ぶこともあります。
一例を紹介するので、参考にして下さい。
煮込み料理
カレー、シチュー、煮物などの煮込み料理の粗熱を取る際は、鍋に入れたまま時折かき混ぜると、効率よく粗熱が取れます。
より素早く粗熱を取りたい場合は、氷水になべ底をつけたり、平たい保存容器に移し替えたりして下さい。
野菜
野菜類の粗熱を取る場合は、平たいバットに並べる方法がおすすめです。
流水にさらすと、より素早く粗熱が取れます。
焼き菓子、パン
焼き菓子やパンは、ケーキクーラーに乗せて粗熱を取る方法が一般的です。
ただし焼き上がりが柔らかいものは、移動させる際に崩れてしまう場合もあります。
そのため、型のまま冷ますことを推奨するレシピもあります。
卵
ゆで卵やオムレツなど、半熟のまま粗熱を取りたい食材の場合は流水にさらしたり、うちわで仰いだりして粗熱を取る方法が有効です。
粗熱を取るときの注意点
粗熱を取る場合には、いくつかの注意点があります。
より美味しく、そして安全な食材が食べられるよう、以下の点に留意して下さい。
冷ましすぎない
粗熱を取るとレシピに書かれている場合は、手でさわれるほどの温度(冷蔵庫に入れる際は室温程度)にすることが基本です。
冷ましすぎてしまうと、料理の美味しさが損なわれたり、その後の調理が上手くできなくなってしまったりする場合があります。
食材によっては冷えることで味のしみこみが悪くなったり、固くなってしまったりする場合もあるため注意しましょう。
蓋をするときは水滴がつかないようにする
粗熱を取る際に蓋をする場合は、水滴がつかないようにすることが大切です。
水蒸気により蓋に水分が付着してしまうと、その水分により食材を痛めてしまうケースがあるからです。
基本的には、粗熱を取る際は蓋を閉めずにとることを心がけましょう。
また、保存容器のまま冷蔵・冷凍する場合は蓋や容器内に水分がないか確認することも大切です。
平たい容器にいれる
効率的に粗熱を取りたい場合は、平たい容器を使うのがおすすめです。
深さのある容器だと奥にある食材が冷めづらく、均等に粗熱が取れなくなってしまうからです。
食材もできるだけ重ならないよう、バランスを見ながらおいて下さい。
粗熱を取ったほうがいい料理
粗熱を取った方がいい料理には、様々なものがあります。
どういったものの粗熱を取るべきなのか、具体例を交えて紹介します。
崩れやすいもの
熱いままだと崩れやすい料理は、粗熱を取ってからカットしたり盛り付けたりすると見栄えします。
煮魚や卵焼きは特に崩れやすいため、調理後に粗熱を取るようにして下さい。
煮魚の場合は粗熱を取っている間に味がしみこむというメリットも期待できます。
また、クッキーやケーキも熱いままだと崩れやすい場合があります。
デコレーションの有無に限らず、粗熱はしっかりとりましょう。
味がしみこみづらいもの
ある程度冷ました方が味のしみこみがいいものも、粗熱を取ることが肝心です。
例えばじゃがいもは、熱々の状態だと味がしみこみづらい野菜のひとつです。
そのため、ポテトサラダは粗熱を取ってから味付けすると美味しく仕上がります。
ただし冷え切ってしまった場合も味がしみこみづらくなるため、冷ましすぎないよう気を付けることも大切です。
冷蔵庫や冷凍庫に入れるもの
できあがった料理を保存しておきたい場合や、冷やして食べる料理は粗熱を取ってから冷蔵庫や冷凍庫に入れることが基本です。
具体的には、カレーやシチュー、また、ゼリー、プリンなどが該当します。
冷蔵庫や冷凍庫に入れる際は、室温程度までしっかり冷ますよう心がけて下さい。
まとめ
粗熱を取ることは、料理の味や舌触りをよくするだけではなく、衛生的にも多数のメリットがあります。
レシピに「粗熱を取る」という記載があった際には、注意点に留意しながら実行しましょう。
また、粗熱を取るのにかかる時間は、条件により異なります。
冷ましながらときどき温度を確認し、いいタイミングを見極めましょう。
急ぐ場合は、保冷材やうちわなどを使いスピーディに粗熱を取るのも、ひとつの手段です。