一口にテープと言っても、その種類は様々です。
強度を重要視するのか、防水性や耐熱性を求めているのかによっても、適したテープは変わってきます。
重量物を梱包するのに強度の弱いテープを使ったり、水に濡れるような場所で剥がれやすいテープを使ったりしていては、そもそもテープの役割を果たせません。
ここではテープの耐性を解説します。
用途に合ったテープを見つけられるよう、ぜひ参考にしてください。
強度のあるテープ
基本的に、テープは厚みがあるほど強度が上がります。テープの厚みは「基材+粘着剤」で構成されています。
基材が厚ければ「引張強度(引っ張ったとき切断に要する力から求めた強度)」の数値が高く、引張強度の数値が高いほど、フィルムベースの強度も高くなります。
また粘着剤が厚いほど、粘着力は強くなります。
フィラメントテープ
フィラメントテープとは、高強度のガラス繊維やポリエステル繊維で補強し、高接着力のゴム系粘着剤を塗布したテープです。
引張強度に優れるため、重量物の結束や固定、梱包などに使用されます。
また中には繊維での補強を抑えたものもあり、比較的安価で売られています。
軽量物の結束や仮止め程度の用途であれば、補強のないものでも十分です。
- 強度・粘着力に優れている
- 耐水性があり剥がれにくい
ふっ素樹脂テープ
ふっ素樹脂テープとは、ふっ素樹脂の一種であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を基材にしてシリコン粘着剤を塗布したテープです。
ふっ素樹脂は摩擦が小さく滑らかなため、印刷機の用紙すべりやコンベアなどに使用されます。
そのほか耐熱性や耐薬品性、電気に対する絶縁性にも優れているので、様々な場所で効果を発揮します。
- 優れた性質を複数持つため用途が幅広い
- 気温や気候の影響を受けにくいため屋外使用にも適している
布テープ
布テープとは、スフモスという布を基材にしてゴム系粘着剤を塗布したテープです。
一定の強度がある一方、縫い目に沿えば手で簡単にカットできる手軽さから、引越し時や発送時の梱包など日常的に使用されます。
また、重ね貼りができる、油性ペンで文字が書ける点も長所でしょう。
「ガムテープ」と混同されがちですが、正確にはまったくの別物です。
布テープの強度や粘着力は、クラフト紙を基材とするガムテープよりも高いのが一般的です。
- 利便性・汎用性に優れている
- 比較的安価で入手しやすい
- 高温下では剥がれやすい
水耐性テープ
水まわりや屋外での補修の際は、水や雨に対して耐性のあるテープが有用です。
気密防水テープ
気密防水テープは、気密性や防水性に優れています。
建築・土木現場で使われることが多いですが、一般家庭でも散水ホースや雨どいの補修、外壁の隙間埋め、DIYなど、役立つ場面は様々あります。
雨にも強いため屋外でも使用できたり、耐久性がありながら手でも簡単にカットできたりと、非常に利便性の高いテープです。
- 気密性・防水性に優れている
- 利便性に優れている
- 屋外使用にも適している
OPPテープ
OPPテープとは、OPP(延伸ポリプロピレン)フィルムにアクリル系粘着剤を塗布したテープです。
耐水性のほか粘着力にも優れ、おもに中〜重量物の梱包に使用されます。
一方、フィルムを縦横2方向に延伸させているため伸縮性はありません。
透明度が高い点でセロハンテープと混同されがちですが、基材や粘着剤の原料が異なる別物です。
粘着剤に天然ゴムを使用しているセロハンテープに比べ、アクリル系粘着剤を使用しているOPPテープは粘着力が低下しにくいという利点があります。
- 耐水性に優れている
- 比較的安価で入手しやすい
- 伸縮性はない
養生テープ
養生テープは一般的にポリエチレンでできているため、防水性のあるテープです。
おもに運搬や塗装作業などの際、壁や床を保護するシートを固定するために使われます。
粘着力は弱いですが、これは「あとで剥がすこと」を前提に作られているためです。
家具の引き出しの固定や、割れた窓ガラスの飛散防止など「一時的に貼り付けたい場合」には極めて有用な反面、長期的な貼り付けには向きません。
- 粘着力が弱く剥がしやすいためテープの跡が残りにくい
- 一時的に貼り付けたい場合に適している
- カラーバリエーションが豊富
- 比較的安価で入手しやすい
油耐性テープ
油はテープとの相性が悪く、テープの粘着力を下げてしまいます。
油がかかる環境で使用する際は、耐油性が特に高いテープを選びましょう。
シリコントミーテープ
シリコントミーテープとは、耐油性の高いシリコンゴムで作られたテープです。
自己融着性があり、粘着剤が使われていないためベタつかずに剥がすことができます。
耐水性や耐薬品性にも優れているため水中でも使用可能であるほか、
高い柔軟性や伸縮性から様々な形状の物や場所に貼り付けが可能です。
- 自己融着性があり粘着剤が使われていない
- 耐油性・耐水性・耐薬品性・柔軟性・伸縮性に優れている
- シリコンゴムで環境にやさしい
アンチオイルテープ
アンチオイルテープとは、2020年にエスジーティー株式会社が発表した耐油特化型のテープです。
機械系工場や中華系の厨房など、油が付着しやすいフロアでの使用が例として挙げられています。
テープ自体が油を吸収するため剥がれにくく、条件によっては半永久的に剥がれないとされています。
- 耐油性に特化している
- テープが油を吸収するため剥がれにくい
UV耐性テープ
一般的なテープは紫外線などの影響により、徐々に変色し粘着力も失われていきますが、UV耐性テープは紫外線に強い素材で作られており、長期間劣化しないという非常に高い耐候性を持っています。そのため屋外での使用に向いており、おもに屋外等の配管や配線の工事で使用されています。様々な製造会社が数多くの商品を発売していますが、その中の一例として、ここでは下記のような「高耐候性粘着テープ」や「ビニルテープ」を紹介します。
高耐候性粘着テープ
高耐候性粘着テープとは、因幡電機産業株式会社のブランド「因幡電工」のポリエチレン製テープです。
UV耐候性に優れ、ケーブルや配管の保護・劣化防止のための使用が例として挙げられています。
- 紫外線対策としての使用に適している
ビニルテープ
ビニルテープとは、米国3M社のブランド「スコッチ」のビニール製テープです。
電気絶縁性に優れ、電気配線工事や通信工事の際の使用が例として挙げられています。
また屋外での使用が念頭にあるため耐候性も高く、紫外線からケーブル類を保護するという用途もあります。
- 電気絶縁性に優れている
- 紫外線対策としての使用に適している
薬品耐性テープ
薬品に対しては、ポリプロピレンやふっ素樹脂が耐性を持っています。
腐食の恐れがある箇所には、それらを基材としたテープを使用しましょう。
PPテープ
PPテープとは、PP(ポリプロピレン)フィルムを基材にしてアクリル系粘着剤を塗布したテープです。
ポリプロピレンフィルムは耐熱性や電気絶縁性に優れているほか、酸やアルカリなどに侵されないという耐薬品性を持っています。
強度と粘着力にも優れるため汎用性が高く、梱包用としても一般的に使われます。
- 耐薬品性のほか、耐熱性や電気絶縁性にも優れている
- 汎用性に優れている
ふっ素樹脂テープ
ふっ素樹脂テープとは、ふっ素樹脂の一種であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を基材にしてシリコン系粘着剤を塗布したテープです。
ふっ素樹脂フィルムは耐熱性や電気絶縁性に優れているほか、酸やアルカリなどに侵されないという耐薬品性を持っています。
- 耐薬品性のほか、耐熱性や電気絶縁性にも優れている
- 汎用性に優れている
熱耐性テープ
電気機器や排気管など高温になりやすい箇所の補修には、耐熱性のあるテープが必須です。
中には1000°Cを超える温度にも耐えるテープもありますが、ここではそれよりも一般向けの耐熱性テープを紹介します。
ガラスクロステープ
ガラスクロステープとは、ガラスクロス(ガラス繊維からなる布)を基材にしておもにシリコン系粘着剤を塗布したテープです。
ガラスクロス、シリコン系粘着剤はともに耐熱性が高く、100°Cを超える温度でも形状が安定します。
- 耐熱性に優れている
ポリエステルテープ
ポリエステルテープとは、ポリエステルフィルムを基材にしてシリコン系・アクリル系などの粘着剤を塗布したテープです。
耐熱性はガラスクロスに比べやや劣りますが、それでも100°Cを超える温度に耐えます。
また透明性があるため、目立つ箇所でも使用しやすいという利点もあります。
- 耐熱性に優れている
- 透明性がある
ポリイミドテープ
ポリイミドテープとは、ポリイミド(超高性能プラスチックの一種)フィルムを基材にしておもにシリコン系粘着剤を塗布したテープです。
ポリイミドは熱に極めて強く、電気絶縁性にも優れているため、高温下や高電圧下でよく使用されます。
また半透明で薄いものが多いため、小さな部品類の補修にも適しています。
- 耐熱性・電気絶縁性に優れている
- 半透明で薄いものが多い
まとめ
テープにはそれぞれ特性があり、用途に合わない使用法では効果を十分に発揮できないこともあります。
水濡れの心配がある箇所に使用するなら耐水性テープ、発熱性のある箇所に使用するなら耐熱性テープというように、使用箇所や用途に適したテープを必ず選ぶようにしましょう。