内容証明郵便とは、郵便物の内容を記録したい人におすすめのサービスです。本記事では、内容証明郵便の利用条件や書き方、出し方を詳しく解説します。インターネットを通じて配送できる「e内容証明」のメリットや差出方法なども紹介するので、参考にしてください。内容証明郵便の注意点も解説しているため、送付前に確認するのもおすすめです。
内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、一般書留郵便物の文書の内容を日本郵便が記録し、証明する制度のことです。
なお、記録、証明されるのは差出人が作成した謄本によるもので、内容文書の存在のみが証明されます。
文書の正当性や真偽は証明されないため、注意が必要です。
内容証明郵便は、いつ、誰から誰へどんな内容の文書が送られたかという情報を証明できるため、主に裁判での証拠が必要な場合や取引のやり取りを記録したい場合に利用されます。
差し出された内容証明郵便は、5年以内であれば480円を支払うことで、差出郵便局に謄本の閲覧を請求できます。
また、5年以内に限り差出郵便局に謄本を提出し、再度証明を受けることも可能です。
内容証明郵便の利用条件
内容証明郵便の利用には、郵便物を一般書留とする必要があります。
簡易書留や通常の郵便物では、内容証明郵便にすることはできませんので注意しましょう。
内容証明の書き方
内容証明郵便を出す際には、書き方を知っておくことが重要です。
文字数、記載内容に決まりがあるためあらかじめ確認しておきましょう。
送付物は文書1通のみに収める
内容証明郵便で出せる郵便物は、文書1通のみです。
そのため、添付図面や返信用封筒、別紙、小切手などは送付できませんので注意しましょう。
また、窓口で出せる内容証明郵便の文字数は、1枚あたり520文字です。
規定の文字だけを利用する
内容証明郵便で利用できる文字には、限りがあります。
以下に該当しない文字は利用できないため、注意しましょう。
- 仮名(ひらがな、カタカナ)
- 漢字
- 数字(算用数字、漢数字どちらも可)
- 英字(固有名詞のみ)
- 括弧
- 句読点
- その他一般に記号として使用されるもの(%やm2のような単位、丸付き数字、傍点、下線など)
謄本の作成の記載項目
内容証明郵便の謄本の作成には、以下の記載項目が必要です。
ただし住所や氏名が内容文書に記載されたものと同一であるときは、謄本への記載を省略することが可能です。
- 文書の表題
- 通知内容
- 日付
- 相手方の住所、氏名
- 自分の住所、氏名
謄本の字数、行数制限
謄本の字数・行数には、制限があります。
縦書きと横書きで異なるため、超えないよう注意しましょう。
なお、字数は謄本に関するものです。
内容文書に字数や行数の制限はありません。
- 縦書き…1行20字以内、1枚26行以内
- 横書き…行20字以内、1枚26行以内/1行13字以内、1枚40行以内/1行26字以内、1枚20行以内
長期保存に耐えられる紙を使う
差出郵便局では、謄本を5年間保存します。
そのため、長期保存ができない感熱紙は謄本に利用できません。
長期保存ができる紙であれば、市販の内容証明用紙以外の用紙を用いても、問題ありません。
内容証明郵便料金
内容証明郵便の料金は、郵便の基本料金に一般書留の加算料金と内容証明の加算料金480円を加えたものです。
なお、先述の内容証明の加算料金は、1枚の場合です。
2枚目以降は以下の表のように、290円ずつ金額が上乗せされます。
謄本の枚数 | 1枚 | 2枚 | 3枚 | 4枚 | 5枚 |
料金 | 480円 | 770円 | 1,060円 | 1,350円 | 1,640円 |
例えば、重量25g以内の定形郵便物を内容証明郵便で送付する際の料金は、以下の通りです。(謄本1枚の場合)
(内容証明の加算料金)480円+(郵便物の料金)84円+(一般書留の加算料金)480円=(合計)1,044円
内容証明郵便の出し方
内容証明郵便を出すためには、以下のものが必要です。
すべてそろえたうえで、集配郵便局および指定の郵便局へ行きましょう。
なお、一部の郵便局では内容証明郵便を取り扱っていません。
心配な場合は、取り扱いの有無をあらかじめ問い合わせてください。
【内容証明郵便に必要なもの】
- 内容文書(受取人へ送付するもの)
- 上記の謄本2通(差出人および郵便局が各1通ずつ保存するもの)
- 差出人および受取人の住所氏名を記載した封筒
- 内容証明の加算料金を含む郵便料金
内容証明郵便はインターネットでも可能【e内容証明】
内容証明郵便は、インターネットを通じての送付もできます。
メリットも多数あるためぜひ利用してみてください。
なお、利用にはWebゆうびんサービス(無料)の登録が必要です。
e内容証明のメリット
e内容証明を利用するメリットには、以下のようなものがあります。
- インターネット上で文書を送信するため、封筒、用紙を準備する手間が省ける
- 郵便局へ行く手間、待ち時間が省ける
- 文書を外に持ち出さなくて良いため、セキュリティの観点からも安心
- 大量発送時には、差込差出し機能の利用が可能かつ一括ダウンロードが可能(いずれも100通まで)
- 内容証明文書1枚あたりの文字数目安が1,584文字となるため、文字数が多い場合は窓口送付より料金が安くなるケースもある
e内容証明差出方法
e内容証明を差し出す際には、まずWebゆうびんサービスに登録する必要があります。
その後の手順、流れは、以下の通りです。
- Webゆうびんの専用Webサイトにログインする
- 内容証明文書(※)をアップロードする
- 差出人、あて先を入力する
- 料金をクレジットカードか料金後納で支払う
- 支払い後、日本郵便の機械で印刷・照合・封入封かんされ、内容証明郵便として送付される
- 受取人宛てに正本が、差出人宛てに謄本が配達される
(※)内容証明文書は、日本郵便が指定した雛形(Wordファイル)を使って作成します。
具体的な指定は、以下の通りです。
文書作成ソフト | Microsoft Word 2016, 2019, 2021 Microsoft 365(デスクトップ版Wordのみ) |
|
文書枚数 | 最大5枚 | |
文字ポイントサイズ | 10.5ポイント以上145ポイント以下 | |
用紙レイアウト | A4縦置き・横書き | A4横置き・縦書き |
余白 | 上左右:1.5cm以上 | 上下右:1.5cm以上 |
下:7cm以上(全ページ) | 左:7cm以上(全ページ) | |
文字の種類 | JIS第1、2水準範囲の文字(外字不可) | |
図・表 | 使用不可 | |
文字装飾 | 太字・斜体のみ |
e内容証明料金
e内容証明の料金は、電子郵便料金と内容証明料金、謄本送付料金に分けられます。
さらにその料金に郵便料金と一般書留料金を加えたものが、必要な金額です。
【内容証明関連料金】
料金内訳 | 料金(1枚の場合) |
電子郵便料金 | 15円 ※2枚目以降1枚ごとに5円追加(5枚まで) |
内容証明料金 | 電子内容証明文書382円 ※電子内容証明文書2枚目以降1枚ごとに360円追加(5枚まで) 同文内容証明(※)210円 ※同文内容証明2通目以降2枚目以降1枚ごとに210円追加(100通まで) |
謄本送付料金 | 304円 ※一括送付503円(受取人数100人まで) |
(※)同文内容証明とは、同時に2通以上のe内容証明郵便物を差し出す場合に、その内容が同一であることを示す証明です。
例えばe内容証明文書1枚、謄本の送付方法が通常送付の場合は、以下の金額です。
(郵便料金)84円+(電子内容証明文書1枚目)15円+(電子内容証明文書1枚目)382円+(謄本送付料金)304円+(一般書留料金)480円=(合計)1,265円
内容証明郵便の注意点
内容証明郵便の利用時には、知っておきたい注意点があります。
後から慌てることのないよう、あらかじめ押さえておきましょう。
郵便切手は一部利用できる
内容証明郵便で封筒にあらかじめ貼っておいても良い切手は、送料+書留料(+必要に応じてオプション料金分)の切手のみです。
内容証明料は謄本の最終ページ余白貼り付けとなるため、封筒に貼り付けられません。
相手が受け取った証明はできない
内容証明郵便は、相手が受け取ったことの証明はできません。
あくまで内容を証明するだけのものなので、相手が受け取ったことを証明するためには、別途「配達証明」を付加する必要があります。
なお、配達証明の利用料金は、350円です。
不在や相手が受け取り拒否する場合もある
内容証明郵便は確実に相手の手元に文書を届けるサービスではありません。
例えば不在時は、内容証明郵便は書留郵便のため持ち帰りされます。
その後再配達手続きをしないまま一週間を過ぎると、差出人に返送されます。
また、受け取り手は内容証明郵便の受け取りの拒否が可能です。
こういった部分が普通郵便とは異なるため、注意しましょう。
まとめ
内容証明郵便は、いつ、誰から誰へどんな内容の文書が送られたかを記録できる郵便です。
5年以内であれば過去の内容証明も確認できるため、重要な書類を送付する際には利用を検討してみてください。
また、インターネットを使ったe内容証明を使うのも、便利でおすすめです。
ただし送付する文字数によっては窓口送付の方が安くなるケースもあるため、それぞれの特徴を理解して使い分けるようにしてください。